お腹の調子が悪くなって不安になったことはありませんか?
- 食中毒ではなさそう
- 以前受診した健康診断では胃腸の所見はなかったのに
- 朝お腹が痛くて目が覚める
- 冷える夜にお腹が痛くなる
不安になって病院を受診したけど疾患が見つからず悩んでいる人は多くみられます。IBSという病気は慢性的に腹痛があり、下痢や便秘の症状がありますが腸の検査で異常が出ないので診断が難しい病気です。私も原因不明の腹痛がたまに起こるため、IBSについて調べてみました。
IBSってどんな病気?
IBSとは、Irritable Bowel Syndromeの頭文字を取った病名で、和訳すると過敏性腸症候群となります。
分解すると、腸(bowel)が何らかの刺激に対して過敏に(irritable)なりさまざまな症状が起こる(syndrome)という病気です。
腸を過敏に刺激するものの代表として、緊張や不安などの"ストレス"が最も多いとされています。外部からの刺激によって腸の食物を肛門へ移動させる筋肉(平滑筋)が強く収縮してしまい、大腸で水分の吸収が十分にできないと下痢が起こります。また、大腸の通路が狭くなったり、腸管が絡まったりすると食物のカスが蓄積し便秘になりますし、メタンなどのガスによっておならが出やすくなってしまいます。
IBSはストレスによるものが多いため、メンタルが弱い人がなる病気とのイメージがありますが、決してストレスに起因するものだけではありません。生まれつき大腸の管が細い人もいますし、腸がねじれていて便秘になりやすい人もいます。また、食後すぐに下痢になる胆汁性下痢症という疾患もIBSのひとつです。IBSだからメンタルが弱いと勝手に判断するのは危険です。メンタルが弱い=IBSでは決してありません!
IBSの種類と症状
IBSの人の症状は下痢・便秘・下痢と便秘を繰り返すと複数タイプ存在しますが、次の4種類に分けられています。
下痢型
お腹が痛くなって下痢をするタイプのIBSです。緊張や不安によって腹痛と下痢を引き起こす人はこちらのタイプです。
便秘型
ストレスを感じると便秘がひどくなるタイプのIBSです。腹痛を伴いガスが溜まって辛いこともあります。腸の形態異常で便秘になる人もいます。
混合型
下痢と便秘を繰り返すタイプのIBSです。
分類不能型
上記3つのいずれにもあてはまらないIBSが存在します。
大腸の形はひとそれぞれ
ヒトの大腸は人体模型では小腸のまわりを四角く囲っています。しかし、内視鏡で大腸の検査を行う医師によると人体模型のように四角い腸を持っている人は2割程度だといいます。残りの8割の人の大腸は角でねじれていたり、骨盤の中の方へ下がっている腸も多いとのことです。体調管理で運動やヨガやストレッチがおすすめされるのは、ねじれている腸を少しでも正常な状態へ戻そうとするためなのかもしれませんね。
IBSの治療法
IBSは投薬による治療が一般的です。主に消化器内科、心療内科、精神科を受診して治療していきますが、IBS専門のIBS外来のある病院もあります。
それから、IBSは自分で運動、ストレッチ、マッサージをすることで腸のねじれを解消したり、骨盤内へ下がってきた腸を持ち上げたりできます。体をひねるストレッチやへそのあたりから腸を持ち上げるイメージで行うマッサージが効果的です。
下痢になりやすい食事
下痢になりやすいものとして、牛乳・コーヒー・アルコールがあります。コーヒーは少量であれば健康にも良い飲み物ですが、1日3杯以上飲むと下痢になりやすいので注意が必要です。アイスコーヒーにするとたくさん飲めてしまいますがあまりお腹には良くはありません。
食物繊維のとりすぎに注意!
食物繊維の豊富な野菜や海藻を摂ると便秘解消に良いとされています。食物繊維には水溶性のものと不溶性のものが存在し、水溶性の食物繊維は便を軟らかくしますが、不溶性の食物繊維を摂りすぎると便のかさが増して便秘を悪化させてしまいます。食物繊維は少なすぎても多すぎても便秘になってしまうんです!
IBSに関する書籍の紹介
IBS専門医でもある水上 健著の「IBSを治す本」を紹介します。
本書でIBSがストレスに弱い人だけがかかる病気ではないことが書かれています。IBS患者に対して大丈夫、治る病気だよ。と不安を取り除こうと丁寧にIBSについて説明されています。治療法に関しては、IBSの薬についての解説や自分でできるストレッチやマッサージの方法も図入りで紹介されていました。
- 作者: 水上健
- 出版社/メーカー: 法研
- 発売日: 2016/09/08
- メディア: 単行本
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さいごに
IBSは5人に1人がかかっているとも言われる身近な病気です。IBSについて基本的な病気の症状に加えて、メンタル以外の問題でもIBSが引き起こされるということを知ってもらいたいと思い記事を書きました。はり・きゅうでもIBSの治療に取り組むことができます。よし、辛い思いをしているIBSの患者さんに治療してあげられる鍼灸師になろう!